あたしはアナリストではないし時事に精通しているわけでもないので、単なる戯言だと思って読んで欲しいのですが、ここ2日ほど気になっていることを少し記しておきます。
戦争はある日誰かが突然マジギレして突発的に勃発するものではありません。長期に渡って国や組織との間に蓄積されてきた歪みが攻撃をきっかけにして表面化され、戦争という実態のあるものへと変化していくのだと思います。それならば、攻撃が始まる以前から目に見えない部分で戦争は始まっているのかもしれません。
フランスのEurope2020というシンクタンクが発表したレポートに、興味深い内容がありました。3月20日から26日の間に、80%以上の確率で国際政治において重大な危機が訪れるというもの。つまり、戦争などの要因となりうる何らかの事象が起きるというものです。
思えば2000年11月、イラクがユーロ建ての石油取引を始めたことも、イラク戦争開戦の要因のひとつだったのかもしれません。ユーロで石油取引が可能になれば、それまで唯一の取引通貨であったアメリカドルの価値が大幅に減少することになりますから、アメリカにとってはイタイ話。実際、イラク戦争開戦時の2003年3月には、ユーロの価値は対ドルで約19%も上昇していました。もちろん、9/11の事件が開戦への大きな引き金になったことは間違いのない事実ですが、それ以外にも戦争へと導く数々の敷石が置かれていたこともまた事実です。
ちなみにアメリカの統治以降、イラクの石油は再びドルのみでの取引に修正されています。
話を現在に戻しましょう。Europe2020は、一体何が起こると予想しているのでしょうか。
実は、起こりうる出来事が正確に予測されているわけではありません。ただ、いくつかのキーワードは挙げられています。そのひとつがイラン。
イランはイラクと同様、石油産油国であるほか、現在、核開発でも注目されています。国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた国々がイランの核開発問題について協議していますが、「イランの核開発についてとやかく言うべきではない」というスタンスをとっているのがロシアと中国。この2国の反対によって、結論は未だまとまっていません。
では、なぜロシアと中国はイラクの核開発を否定しないのか。
ロシアはわかりやすいですよね。石油のユーロ取引には積極的に賛同しているし、これまでもアメリカの利になることはずっと避け続けてきた国。中国は元の対ドル固定レート撤回を叫ぶアメリカに対して、最近特に敵視が強まっているように見えます。
つまり、どちらの国もイランの核開発を推進して同国に武力権力を与え、アメリカのコントロールから逃れさせ、うまいことユーロ取引を実現させたいという思わくがあるのかもしれません。
また、アメリカはイランの核開発施設への攻撃までもほのめかす発言をするなど、ある意味過剰な反応を見せています。それだけでもイランの動きがドルの崩壊と発展に直接結びついていることがよくわかるのではないでしょうか。
さらに、国をあげてのペイオフとも取れるM3解除の発表も気になります。これはアメリカが他国から借金している金額のうち、一定の金額しか返済義務を負わないという宣言。国内の銀行からの借金も含めた借金総額のうち、1982年には外国からの借金が17%であったのに対して、現在では50%を超えそうな勢いのアメリカ。もしかしたらその資金力は、想像以上に悪化しているのかもしれません。だとしたら、なんとしてでも石油のドル取引を放棄したくないはずです。
昨夜、ロシアと中国が両国の戦略的パートナーシップの全面的発展を図る共同声明に調印しました(ニュース)。両国はすでに昨年、共同軍事演習の開催にも合意しています。これが敷石に見えるのはあたしだけでしょうか。
もしかしたら、もう始まっているのかもしれません。
4 comments:
同感、世界の終わりは既に、始まっているというの。。。。
ロシア、中国の関係はあやしすぎる。。。怖いくらいだね。
あと、北朝鮮も忘れられませんね。あの国は、どうも不気味ですよ。。。。
またまた、きっとでしゃばりのアメリカがしゃしゃり出そうで、困ったものだ。。。
> Cha Chaさん
ロシアと中国の動きは本当に油断がならないところまで来てますよね。
インターネットを主軸とする情報化によって、中国は国民に与える情報のコントロールがしにくく、反共産主義が育ちやすい環境になってきていると思うんです。台湾との関係もまったく改善されていないし。
最近の動きを見ていると、中国政府は戦争をきっかけに国民の思想を一方向にまとめたがっているんじゃないかと勘ぐりたくなります。さすがに2008年の北京オリンピックまでは何もないと思いますが、その後世界がどうなるのかまったく予想できないのがコワいです。
知識が無いので、コメントするのも恥ずかしいのですが、気になる問題だったので、コメント書いてみます。
アメリカに移り住んでからと言うもの、日本では持っていなかった愛国心というものがフツフツと私の中にも沸いてきました。
世界各国の友達と接する中でも、政治や経済の話をするときは、その人の国に対する愛国心がむき出しになる事も多く、やっぱり、お金や利益、地位とかが絡んでくると闘争心みたいのが強くなる気がします。
武力を行使して相手を抑え着けても上手くいかないことはアメリカのイラク戦争の結果からわかっている事なのに、緊迫している世界状況から何も学ぼうとしない主権の取り合戦に胸が痛みます。
人が生まれ持った優しさと思いやりの心は欲望や権力の前では見えなくなるのでしょうか?
見ているだけで何も出来ないそんな自分も情けないです。
> ジャパワイフさん
ジャパワイフさんの言うように、愛国心は結果的に利益追求や異端思想の排除に繋がるものかもしれませんが、おそらく誰もが持っているものであり、それを抑制することは非常に難しいですよね。また、サル山にですらボスの地位を巡って闘争があるように、競争のない社会や世界の存在もありえない。
他を服従させ、権力を得ることが人間として避けられない本能であるなら、いかに血を流さずにそれを実現させるかを模索するのが国の義務かもしれません。
一個人として何ができるのかは、あたしにもまったく思いつきませんが・・・。
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