Friday, November 24, 2006
日本が好きですか?

あたしは子供の頃、"愛国"という言葉にある種の抵抗を感じていました。やっぱ80年代にかけて、赤尾敏率いる大日本愛国党が、真ん中に毛筆でデカデカと"愛国"とタテ書きにした、あの経費のかかってなさそうな張り紙をそこらへんの電信柱に貼りまくったのがよくなかったんでしょうかね。
右とか左とか関係なく、子供ながらにあの張り紙には無条件で嫌悪感を持った覚えがあります。張り紙から漂っていた異常なほどにイカツイ雰囲気は、珍走団の"世露死苦"とか"愛羅部勇"と同レベルでコワかった。というかヒキました。

ま、そんな風に愛国ポスターがベタベタと貼られた道を通って登下校をしていたあたしは、小学校3、4年生くらいになると「君が代とか日の丸掲揚とか超ダルいし」と、スレた子供に成長します。いや、その頃のあたしはすでに、「外国(この時のあたしの"外国"とはすなわちアメリカだった)はカッコいいけど、日本はダサい」というイメージをしっかりと持っていたような気がします。
星条旗を見つめて国歌斉唱するアメリカ人をテレビで観ながら、「日本もこれくらい国民から愛される国だったらよかったのに」と思ったのをはっきりと覚えているし、その光景は、あのポスターの中に存在する"愛国"とは異質のもののような気がしました。そして、周囲は不平不満ばかりで、"日本が愛するに値する国であること"を教えてくれる大人は誰もいなかった。

これは重大なことじゃないでしょうか。

ところがですね、ま、滞在先によっても違うと思うんですけど、海外で暮らしてみると、日本は経済(これはちょっとあやしい)、技術、文化、マナーに至るまで、現地の人たちからそれなりに高く評価されてることに気づくわけですよ。それにつられて自らも振り返ってみると、それまで気づかなかった日本の魅力が次々と見えてくる。
おかげで、あたしはニュージーランドでの過去8年間、自分が日本人であることを恥ずかしいと思ったことがほとんどないどころか、伝統文化もパルプ・カルチャーもひっくるめて、今じゃ日本というバックグラウンドを持てて本当にラッキーだったと思っています。
でも、どうして日本では誰ひとり「日本っていい国だよね」とか、「日本はダサいどころか意外とイケてるよ」と言ってくれなかったのか。そして、誰も言わないのか。

もちろん、日本に住んだことのない外国人が、日本国内で生活するうえでのネガティヴな面について知ってるわけないし、日本が"愛すべき国"であるかどうかを対外的な評価だけで計るのはおかしいですが、周囲を見渡してみると、飢えや流れ弾で明日死んでもおかしくないようなヤバい国だってゴロゴロしてるし、今になってみると、もっと日本は住人たちに愛されてもいいんじゃないかと思うわけです。

また、最近ネットでは「先の大戦を恥じて、やみくもに国を愛するのは控えましょう」とか、「愛国は対立を生みます」的な意見をよく目にしますが、そんな偽善的な意見で、愛国を軍備や右巻きのようなくだらないものと同化させないで欲しい。
確かに、肥大させたプライドを元に、愛国を謳って何もかもを正当化する"愛国無罪"のような動きは危険ですが、愛国の本質はそんなもんじゃないと思う。

そして、"愛国"と"民族の違い"を対極のものとして捉える姿勢に対しても、疑問を持たずにいられません。
あたしはニュージーランドに永住する日本国籍の人間ですが、両国に対して愛国心を持っているわけですよ。どっちも平和であり、豊かであって欲しい。双方の国に対して、その国の一員であることへのプライドを持ってる。
ところが日本では愛国と言ったとたんに、"人権"とか"民族"という言葉が盛んに叫ばれる。その反応ぶりがちょっと異様で、永住外国人の日本に対する愛国心が、最初からゼロであることを前提にしたように聞こえる発言が、永住外国人、日本人の両方から飛び交います。

文化や言語、血すじなど、異民族としてのプライドを持ち続けるのは一向にかまわない。でも、移住先の国を祖国と同じように愛さず、祖国への愛国心だけを正当化するなら、移住による摩擦はいつまでたっても終らないんじゃないですかね。

ところで、移住者と日本国籍の日本人、両方から愛されないことにジレンマを感じた日本が、教育基本法改正を検討しています。日の丸や君が代は、また愛国とは違った部分で非常に難しいテーマだと思いますが、政府が愛国の基準を法でコントロールしたくなるほどに、日本が愛されてないと思うと悲しい。

あたしが愛国ポスターに嫌悪感しか抱けなかったのは、きっと、愛国を理由にした盲目的な団結や利益への欲望が見え隠れしてたから。愛国はもっと、純粋であるべきなのになぁ。
みなさん、日本は意外にいい国ですよ。



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5 comments:

ヨヨ said...

まずはこのテーマを掲げたenvyさんの度胸に拍手です。
夜道は背中に気をつけてくださいよー。
このテーマは狂信的なのがいるから(苦笑)。

さて。
1年というほんのわずかな期間日本を出て、
また日本に戻った私にとっても、日本は愛すべき国です。

日本の文化も習慣も超好きです。
世界的に見ても、あらゆる側面で高水準だと思うし、
食べ物もサイコーです。人も親切です。

でも私は「愛国心」はないし、日の丸に興味はありません。
別に生涯日本で住みたいとも思っていません。
そういう意味では、日本が嫌い、ともいえるかもしれないです。

・・・「自国を愛すること」と「愛国心」が同じである、という政府の考えに
そもそも無理があるんじゃないかと私は思っています。

日本に住んでいるとよく分かりますが、マスのレベルでは
「みんなが国を愛さないから、画一的な方法(=君が代斉唱とか)で
愛国心を植えつけようぜ!」という政府の考えがどうしても前に
出てしまいますが、パーツ(国民ひとりひとり)だけ見ると、
案外「日本好き」で「日本はいい国だ」と思ってる人って多いですよ。

恋愛同様、「愛し方」というのは人それぞれですから、
今の表向きのやり方は、「俺を好きになれ!」という押し付けの愛国心だから
みんなヤだって事なんでしょうね。
男だってそんな奴、ムカきますもん(笑)。


本当は「愛国心」というか、「愛地球心」(万博みたいだ)みたいな心が、
すべての人に育てばいいんですけどね~。。。

追>
きのうTちゃんのイベントで、Tちゃん&嫁とAndreasに会いましたよ。
Andreasいま日本に来てるんスよ。当然のようにおねーちゃん連れで(笑)。
あと、元・某ガイド会社のマキコさんも一緒で、envyさんの懐かしい話も
しました。某MJは変な人ばっかりでよかったってほめられました(笑)。

11/24/2006 6:16 PM

Envy said...

>> 夜道は背中に気をつけてくださいよー。
刺されないようにかなり気を使って言葉を選んだつもりなんですが、やっぱり刺されそうですかね・・・。

愛国には2種類あるようです。
愛国ポスターのように、"愛国心の向こうに計画があるもの"と、"国を純粋に好きだと思う気持ち"。
ところが政府が介入すると、どうしても「愛国を煽って何かを企んでいるんじゃないか」と疑われてしまうのかもしれません。でもだからと言って、愛国を語るのが国民レベルでタブー化するのはおかしいし、まったく関心を持たなくなるのも危機的だと思っています。

p.s.
あたしがMixiを触らなくなって以来、T君とはまったく連絡が取れなくなってるんですが、元気そうでなにより。そろそろこっちに戻って来る頃ですかね。
マキコちゃん、懐かしいなぁ。Andreasは1ヵ月くらい前にウチのBarに来ましたが、珍しく野郎ばっかりでした。あの、アフロなモヒカンはどうなんでしょうか。微妙すぎてコメントできません。

11/26/2006 7:29 PM

cavacavien said...

"愛国"ってポスター、確かに強烈過ぎました。周りの大人は誰も説明してくれなかったしね。それは戦後のどん底から這い上がって行こうとする時に、あると邪魔だったものなのかなーとか思います。・・・良心的に言うと食うのに必死だったと。

愛国心て本来なら当然あってしかるべきものでしょう?と言っても、ワタシもアメリカバンザイ少女でしたが。これは振り返ってみると、ごくチビの頃に見た、テレビの影響。洋物はなんでもステキに見えたからねえ。

きっと多くの人がこの国、好きなんだと思うの。でも、いつかの人質見殺し事件の後、国ってなに?って。国の対応はモチロン許せないし、一般の暴走(家族に対するいやがらせとかね)あの件は一生忘れられないだろうな、と思います。あ。ズレタ。ごめん。

でね。外国人の先生を招聘するJETプログラムのおかげなのか、なんなのか、日本の良いところが他国から評価されるようになってきたでしょう。こういうのって、バカにできないんじゃないかな。ほれ、日本人て外圧に弱いから(笑)
ニッポンばやりが逆輸入されて、ようやく自国を評価するようになるのかもしれないなーと予想します。

11/26/2006 9:03 PM

Envy said...

> Cavacavien さん
あたしが日本にいた頃は、なぜか周囲が外国人、日本人共に強烈な日本ギライばっかりだったので、Cavacavienさんとヨヨさんから連チャンでポジティヴな意見が聞けてホッとしてます。

と同時に、"愛国"を言葉として掘り下げると、非常に興味深い研究対象になりそうな気がしてきました。

先日、日本の某新聞のコラムの中に、20代の学生の方によるコメントとして「愛国は天皇を敬い、国を愛すこと。だから愛国には抵抗がある」とありました。
つまり、"愛国 = 天皇 = 先の大戦 = 軍国主義 = 愛国はヤバい"という定義ですよね。

正直、戦後60年以上経った現在でも、"愛国"という言葉がこのように定義されることに驚きを隠せません。
実際、ヨヨさんも上のコメントで"自国を愛すること"と"愛国心"は違うと述べていますが、おそらくそれも、"愛国"という言葉が持つ、イメージが左右しているような気がします。

あたしはエントリの中で、"軍事をイメージさせる愛国"の象徴として"愛国ポスター"を使いましたが、あのポスターだけが戦後2世代目、3世代目の日本人にそれらのイメージを継承させたとは思えないし、何か他の大きな影響力があるはずですよね。
あたしを含めた多くの人が、誰も説明してくれなかったはずの"愛国"という言葉に対して、反射的に、しかも漠然とした嫌悪感を抱くのはなぜなのか。
もちろん、戦時の反省点を振り返るのは大切なことですが、それと"愛国"が半世紀以上に渡ってここまで顕著に直結しているのには理由があるような気がするんです。

先日Cavacavienさんに、近頃の世界史の教科書がスゴイことになってる旨のコメントをいただきましたが、歴史が苦手な10代の子が、"愛国"という言葉にどんなイメージを持っているのか非常に興味があります。
"愛国"のバックグラウンドを知らない子供も、やっぱり何らかの嫌悪感を持っているんでしょうか。だとしたら、それはどこから与えられたものなんでしょうか。
Cavacavienさん、街で若い子を見かけたら、あたしのためにつかまえて質問攻めにしてください(笑)

11/27/2006 11:37 PM

綿 said...

国内のサービスで書いたら火が付きそう
なタイトルですね^^;

そもそも僕は日本人では無いので^^;
コメント入れるの躊躇しちゃったり
しましたが…

母が日本人、父がカナダ人
嫁も日本人、そして私な訳ですが^^;

良い国だと思いますよ日本は
少しクローズドな雰囲気は否めませんが
昔に比べたら天と地だし^^;

国民になりたいかと聞かれたら…
現時点ではNOですね^^;
現在も永住権も取ってませんし^^;
かと言ってカナダはどうって聞かれると
メイプルシロップと熊位しか出てきません(汗

自分は日本で生活するのは苦では
無いし楽しい事が多いですから
でも子供とかに話しが移ると
育てるって言う環境ではないですね
日本は産めたとしてもね…
まともな大人になってもらえない様な
気が激しくします^^;

遊びに関しては右も左も適うものなし
ですが…

僕が思うに昭和位の時の緩さと言うか
おおらかさが今はなくて…
全体的にギスギスしてる感じが嫌いです

でも本家の長男だから逃げる訳に行かず
でも見た目白人(ぇ
まぁ言葉悪いかも知れませんが^^;
親が亡くなるまでは日本にいます^^;

なんだかんだ言っても
畳じゃないと落ち着けませんしね(苦

もうちょっと気楽に生きれれば幸せ♪
どこに居ても同じですよたぶん

隣りの芝は青く見えるもんです(笑

6/14/2009 5:23 PM