Tuesday, October 24, 2006
あたりまえの自由

数年前、ニュージーランド訪問中に行われた講演を聞いて以来、あたしはダライ・ラマ14世の大ファン。
イスラエル対ヒズボラの対戦が悪化した際、過去のノーベル平和賞受賞者を集めてBBCで特別討論番組やってたんですが、その中に同氏もいたんで、明け方まで久々にテレビを観てました。

参加者全員がそれぞれの視点から、ある意味タブーのテーマである"宗教戦争"に対して非常に興味深い意見を述べていたわけですが、番組の最後に司会者が「では、皆さんにシメの一言を・・・」と声をかけた際、参加していた牧師の方が「世界は平和であるべき。だって私たちはファミリーなのですから」と言ったんですね。すると横からダライ・ラマ14世が「や、ホラ、ファミリーってのはキリスト教徒がキリスト教徒に対して呼びかける言葉で、実際、例えばチベット仏教徒をファミリーとは思ってないでしょ。また宗教の区別が生まれちゃう。"私たちは人間なんだから"にしましょうよ」と言ったのが衝撃的でした。

討論の流れから、牧師の方は決してキリスト教徒だけを意味して発言したのではないことは明らかで、ダライ・ラマ14世がただアゲアシを取っただけなのかもしれませんが、宗教を持たないあたしとしては、"人間なんだから"のほうが説得力があったような気がします。

ところで、ダライ・ラマ14世はチベット仏教の現法王ですが、中国によって半ば強制的に制定された"チベットの平和的解放のための措置に関する17ヶ条協定"を不服として、1959年にインドに政治亡命しています。
ま、詳しいことは"ダライ・ラマ法王日本代表部事務所"に記載されているので、この機会にぜひ目を通してみてください。

んでもってですね、YouTubeで公開されている中国兵士によるチベット仏教徒射殺映像がいろんな所で話題になってるわけですよ。グロじゃないんでたくさんの方に観ていただきたいんですが、この事件を中国政府は「警告したけど抵抗したから射殺した」と発表してるんですね。
そこで、中国における人権にまつわるサイトをいくつか訪問してみたところ、ジャーナリストによる国際的な非政府組織、Reporters sans frontieres(国境なき記者団)が呼びかけている、"北京オリンピックをボイコットしよう"という署名サイトにたどり着きました。
その主張は、「人権侵害、言論規制などがあたりまえのように行われている中国でオリンピックを開催することは、同国の行政による間違った倫理観を肯定すると同時に、平和、平等が目的であるオリンピックの主旨に著しく反する」というもの。

翻訳して全文掲載してみようかなとも思ったのですが、記載されている内容が本当に事実に基づいているものなのかどうかはあたしには保証できず、それを日本語で広めることは無責任だと思ったのでやめました。
興味のある方は、サイト翻訳サービスなどを使って読んでみてください。また、ここで主張されている内容だけでなく、中国における人権問題を扱った他のサイトも訪問して、総合的かつ多方面からの意見やリソースに触れることをお勧めします。

同サイトの主張に賛同される場合は、ハンドル・ネームでの署名も可能です。
左のナビバーにある、下から2番目のフォームに、名前(本名またはハンドル・ネーム)とメール・アドレスを入力、Submitボタンを押すだけ。その後、指定したアドレスに確認用メールが届くので、メールに記載されているリンクを押せば署名が完了します。

あたし個人としては、自国の歴史にまつわる単語ですら検索エンジンにフィルタをかけられ、詳細や他国の意見を知ることができない中国国内の同世代に同情を感じずにはいられません。
13億もの人口を抱え、永遠に"クサいものにはフタ"で通すことなんてできっこない。そして、いつかコントロールされた情報に疑問を持った中国国内の一般の人々が、政府と対極して知識と言論の自由を手に入れる行動にでたとき、彼らの主張が正しいものであることを世界が認識するためにも、署名する、しないにかかわらず、この署名運動の存在を知ってもらうことに意味があるのではないかと思っています。
だって世界の世論があれば、そのときに流れる血も減るかもしれない。



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5 comments:

cavacavien said...

ばんわっ。虫の知らせってやつですかね(笑)今さっき、ダライラマさん来月東京にいらっしゃると聞いたばかりです。もちろん、ちゅーごくの手前、前回同様、正式な国賓扱いにはならないのでしょうが、どんな講演会をされるのかちょっと楽しみ。

YouTubeのリンクもらっていきまーす!ありがとさん!!

そうそう明るい話題!ニュージーランドワインてうまいの?夕飯どき、隣の席の2人連れが、ニュージーランド産わいんについて語ってました!!

10/24/2006 11:32 pm

cavacavien said...

このビデオ、日本語の字幕つきはフラグがついてて、見れないね。へん。

10/24/2006 11:42 pm

Envy said...

> Cavacavienさん
ああ、また聞きたいなぁダライ・ラマ氏の講演。

仏教の根底には、「死を恐れずに、あるがままに生きる」という考え方がありますが、それにしても仲間の巡礼者が次々と銃殺されながらも、足を止めずにひたすらインドを目指す彼らの行進が印象的です。
YouTubeの日本語字幕版は、コメント欄が日本対中国の罵り合い会場になってしまったせいか、メンバーしか閲覧できなくなりました。
字幕をつけたことで、中国の利用者は「日本人が作ったでっちあげフィルムだ」と日本非難を繰り返していました。もうね・・・。

ええと、ニュージーランド・ワインですが、ワイナリの数も多いし、年代によって出来具合も様々ですが、おいしいワインがたくさんありますよ。
最近は、血液のクレンジング効果が高いといわれているPinot Noirが人気。もとはブルゴーニュに代表されるワインですが、北島は気温が適しているせいで、フランスに負けないPinot Noirも登場しています。ブドウの質が安定しない種らしいので、年代によってかなり風味が違いますが。
NZ産のPinot Noirを見かけたら、ぜひお試しください。

10/26/2006 11:23 pm

Anonymous said...

ダライ・ラマの講演を聞くことができたのはすごく貴重な体験だったよね。
昨年来日した時、金沢で講演あったらしいんだけど、入場券はなかなか手に入らない…と金沢の友達が残念がっていました。
ダライ・ラマ自伝を以前読んだけど、Envyさんの文読んで、また引っ張り出してきて読んでます。
日本では宗教の最高指導者ってだけ思っている人が多いけど、NZでは彼の言葉や人間性に魅かれている人が多かったと思う。
私もあの人懐っこい目が忘れられないです。

10/31/2006 1:48 am

Envy said...

> Ayumiblackさん
懐かしいね、あの講演。
確かにニュージーランドでは、宗教指導者というイメージはあまり強くないかも。

チベット仏教、中国の中共政府、どちらにも言い分があるんだろうけど、今回紹介した動画が事実であるなら、これは許されないことだと思います。
法を無視して国境を越える人たちを容赦なく殺害するなんてことは、他の国々でもたくさん起きているのが事実ですが、今回は出国側の"従軍兵士"が殺害していること、また、その国にチベット仏教徒迫害の長い歴史があることが大きな問題。
これを機に、なんらかのアクションが生まれればと思いましたが、やっぱりあんまり話題にならなかったね。残念。

11/01/2006 3:25 pm