Tuesday, April 11, 2006
ハルマゲドンは来るのか 2

ミケランジェロによる最後の審判 シリーズ:
ハルマゲドンは来るのか >>Part1 Part2 >>Part3

最近あたしは世界崩壊論をボヤきっぱなしですが、あたしの知能で世界を語られては迷惑だという方もいるはず。正直、限界も近いのでそのうち黙ると思いますが、今日も引き続きハルマゲドンの話題です。

今までその存在すら明確にされていなかったユダの福音書が、遂に科学者の手によって解析されました。ナショナル・ジオグラフィックの最新号に掲載される特集では、この福音書には「ユダはキリストに依頼されてキリストを売った」と書かれていることが明記されています。
前回のエントリでも言及しているように、"裏切りのユダ"の行為が裏切りでなかったとされれば、キリストを十字架にはりつけたユダヤ人を憎んできた一部のキリスト教徒の怒りを静めることになります。
宗教を持たないあたしにはあまりピンときませんが、その怒りと憎しみは並大抵のものじゃないようです。なんたって、ヒトラーはその怒りにまかせてユダヤ人を1千万人以上殺してますからね。
ところが、"裏切りのユダ"が"依頼されたユダ"だった場合、話が大きく変わってくる。

このへんで、先に3つの大きなグループを確認しておきましょう。

ユダヤ教
キリスト教とイスラム教の基盤になった宗教で、聖典は旧約聖書(と、キリスト教が呼んでいるもの)。キリスト教との最大の違いは、救世主(キリスト教におけるキリスト)がまだ降臨していない点。ユダヤ教徒=ユダヤ人と認識するのが一般的で、彼らは絶対神ヤハウェに選ばれた民であり、救世主(メシア)の降臨と共に最後の審判の日が訪れるとユダヤ人以外は全滅し、神の国(イスラエル)に永遠の世界が与えられる

キリスト教 - カトリック
ユダヤ人であり、ユダヤ教徒でもあったキリストが救世主であり、すでに最初の降臨は完了しているとするのがキリスト教。ハルマゲドンの際にキリストが再臨し、信じる者だけが救われる。
ローマ法王を頂点としたピラミッド型の組織になっているのがカトリックの形態で、神父、修道士、シスター、マリア像もカトリックの領域。聖典はユダヤ教と同じ旧約聖書(キリスト教以前のものなので、もちろんキリストは登場しない)と新約聖書(キリストが登場)

キリスト教 - プロテスタント
1500年代の宗教改革以降、思想の違いによりカトリックから対立分離。神と個人が直接の関係を持つとし階級を重視しないため、牧師はあくまでも教会のまとめ役として位置付けられ、結婚も可。多くの宗派に枝分かれしているのが特徴で、聖典はカトリックと同様、旧約聖書と新約聖書

カトリックとプロテスタントでは解釈が違う部分もあるのですが、キリスト教の皆さんはユダヤ教の聖典である旧約聖書を読んでるってことですね。
ユダヤ教では最後の審判によってユダヤ人以外が滅亡、キリスト教では新約聖書のヨハネの黙示録(16:16)にハルマゲドン(反キリスト勢力との最終戦争)に関する記述があり、キリストを信じる者だけが生き残るとされています。
世界崩壊論の存在と救世主が降臨する部分がどちらにも共通していることが理解してもらえれば、とりあえずOKです。

では、これら3グループのすべての人たちは、本当にいつか世界がぶっ壊れて、さらに自分だけが助かると思っているのか?このへんは非常に微妙です。ただ、多くのユダヤ人は救世主の降臨に備えてユダヤ教の繁栄に力を注いでいるし、実際に1948年にはイスラエル(神の国)を建国しています。
また、プロテスタントには聖書の言葉を絶対視するキリスト教原理主義者もたくさんいて、彼らはキリストの再臨のため、逆にハルマゲドンは必要不可欠と考えているように見えます。ちなみに、ブッシュ大統領はキリスト教原理主義者ですね。

さて、話を"依頼されたユダ"に戻しましょう。
元は同じ神からスタートしたユダヤ教とキリスト教でしたが、ヒトラーに代表されるユダヤ教を敵視する思想と、それを受けてキリスト教に対して憎悪を燃やすユダヤ教との確執は長く続いてきました。
でも、キリスト自らが望んで殺害されたのであれば、これまでキリスト殺害犯とされてきたユダヤ教をキリスト教が責める理由がなくなってしまいます。ユダヤ教とキリスト教の距離を縮める準備が整いました。

それじゃぁ、ユダヤ教とキリスト教が仲良くなることで何が起きるのか?
それは、同じ世界崩壊論を唱えるユダヤ教とキリスト教原理主義者が救世主の降臨を実現させて、イスラム教を解体し、地球を乗っ取ることにほかなりません。バカバカしい?とんでもない。彼らは本気です。
唯一の希望は、世界崩壊論に比較的消極的であるカソリックが彼らの暴走を止めることでしたが、現ローマ法王は就任直後、ヒトラー時代に"ナチ少年団"の団員であったことがスッパ抜かれてしまいました。これじゃぁカソリックはユダヤ教に対して否定的な意見をするたびに「法王はナチの残党だから」と言われるしかありません。口封じと同じです。
また、そんな過去を持った人材だったからこそ、なんらかの力が介在して現ローマ法王が選出されたという可能性だってあるかもしれません。

宗教的側面ばかりを書きましたが、救世主が降臨するかどうかはわからないものの、もしもハルマゲドンが実現したら世界はどうなるんでしょうね。ユダヤ教とキリスト教が共存するのは間違いないと思いますが、彼らの信仰は共に神(ヤハウェ)に対するものですから、ある種の統一感が生まれるかもしれません。
また、ハルマゲドンを政治的な面で実現に導いた人たちは巨大な富と領土、そして力を手に入れるでしょうね。占領した土地を吸収し、巨大な国家が生まれるかもしれません。そう、ユダヤ教とキリスト教が夢見る千年至福の永遠の国家です。普遍的で人道主義的な世界共和国。
ん?どっかで聞いたことありますね。

フリーメーソンとイルミナティですよ

シリーズ:
ハルマゲドンは来るのか >>Part1 Part2 >>Part3



2 comments | コメントを書く

2 comments:

Anonymous said...

そうですね、一応、洗礼まで受けたアメリカ南部バプテスト派の信者としては、やはり、この世の終わりには、天国に行きたいですねー。しかし、じゃぁ、この天国では、ウチの家族(仏教信者)には会えないのか????

これは、ちょっと、疑問ですなぁ。

フリーメイソンといえば、これまた、アメリカでもなぞのふかい、分かりにくい団体ですが、ウチのダンナの叔父さんが一員でして、この方は後に自殺するのですが、葬式はその遺書により、メイソン式の葬式でした。これ、私にとっては、最初で最後のメイソニックの葬儀でしょうね。ちょっと、変わったものでした。

4/12/2006 1:04 pm

Envy said...

> Cha Chaさん
コメント、ありがとうございます。
実はあとで読み返してみて、一般のプロテスタントの方々を非難しているような文章になっていたかもしれないと反省していたところでした。
このエントリでは"キリスト教原理主義"と言っていますが、宗教思想的な原理主義よりも"政治との癒着が目立つ極端なキリスト教右派とネオコン"を意味するつもりだったので、"キリスト教原理主義"では広義すぎたなぁと思っています。

あたしには宗教や天国の概念がないせいか、気になるのはこの世のことばかり。後に残されるのはたまらんので、死ぬときは旦那より先がいい(笑)。

フリーメーソンとイルミナティは実態がつかめず、常にオカルトの香りがしますね。実際はどの程度の規模の組織なのか、非常に興味はあるのですが。

4/12/2006 2:59 pm