Thursday, July 20, 2006
ハリウッドの日本観

午後、仕事前にDVDを1本観ました。邦題では"Sayuri"と題された映画、"Memoirs Of A Geisha"。オリジナルは日本で雑誌編集に携わった過去を持つアメリカ人、Arthur Goldenによる書籍で、あたしは数年前にこの原作をすでに読んでました。

原作と映画、どちらも主人公の芸者さゆりが、彼女の半生を一人称で語ることでストーリーが展開するんですが、原作を読んだ際、京都の花町、芸者世界の習慣や掟、日本人特有の義理と人情など、それらの描写があまりにも自然だったため、あたしはてっきり芸者をリタイアした"さゆりさん"が書いた自伝を、Golden氏が翻訳したのだと思っていたほど。
実際は、60、70年代に現役の芸者として祇園で活躍したMineko IwasakiさんにGolden氏がアドヴァイスを求め、"現場の声"を活かしながら修正に修正を重ねて出版に至ったとか。

ストーリーは満州事変などを背景に1930年代を中心にしているんですが、映画には中国人俳優が多く起用されていると聞いていたので、「気がついたら原作はそっちのけで、日本人は野蛮で卑劣ってメッセージが詰め込まれたプロパガンダ映画になってたら目も当てられない」と思い、実はあえて映画を避けていたんです。
また、作品のクオリティ面でも、原作が非常に良かった場合、映画を観てガックリというケースが結構あるじゃないですか。それが映画を遠ざけるもうひとつの理由になってました。

ところが。

もうね、ビックリするくらい良かったんですよ。
"かんざし"ひとつにもこだわった華やかな京の女たち、町を彩る提灯の淡い光、四季のうつり変わりと共に変化する日本庭園の装い、水面に映る日本建築のシルエット、そして、女のプライドが交差する置屋の陰湿さまでが息を呑むほどの美しさで、かつ忠実に再現されていました。
ああ、こんなに美しい日本を映画で観たのは初めて。

しかも、置屋のババアが桃井かおりなわけですよ。

合格。誰が何と言おうと合格。もーこれ以上のキャスティングは不可能。
んで、桃井かおりを含め、日本人俳優勢は渡辺 謙、役所 広司、工藤 夕貴などが出演していたんですが、ハワイ育ちの工藤 夕貴はおいといて、みなさんかなり英語がウマい。ハリウッド映画なのでほぼ全編にわたってセリフが英語なんですが、ほとんど問題ナシ。彼らの英語を聞いてても、少なくともあたしは苦痛じゃありませんでした。
ちょっと前までは結構いいかげんな英語で日本人俳優が洋画に出て、英語喋ってんのにわけわかんないから英字幕つけられたりしてましたが、同映画の俳優陣はかなり気合が入っていた様子。

ウチのフラットメイトのOlly君なんか、ラストシーンの渡辺 謙のセリフで号泣。

それにしてもアレですね、この映画、監督は"シカゴ"でアカデミー賞を取ったロブ・マーシャルなんですが、この人はスゴい監督なのかもしれませんね。
だってホラ、日本の美には"静の美"ってのがあるじゃないですか。それは、完璧なまでにバランスを計算された庭園だったり、職人の技が隅々まで施された建造物だったりするわけですが、そんなハリウッドの美学とは180度違う日本の美を、まるで日本人の視点から見たかのように表現してるんですよ。

また、スティーヴン・スピルバーグが制作総指揮を担当してるのも不思議です。宇宙人が自転車乗って空飛ぶのはいいとして、人食いザメに手足をモリモリ食われたり、恐竜に頭から丸呑みされるような映画を撮ってきた人物が、なぜこの作品に乗ったのか。そのあたりに疑問を感じつつも、あたしとしては久々に星5つ付けたくなった映画でした。



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6 comments:

yayoi said...

下の業務連絡ですが・・・
T君、とりあえず半月前に会った段階では
嫁ともども変わらず元気だった事を代理にてご報告しておきます。

ただ、本人見てないっすよ。たぶん。。。
久々の会社と電車(満員)に相当メンタル的にダメージ
くらってるみたいですから。
分かりますよ。。
私もたかだか1年のブランクですが、このところ自分のブログも
滞りがちで。。ましてT君、4年近いブランク&元々筆不精ですからね。
・・そういう自己表現におけるモチベーションを吸われる
国なんですよね。日本って。あーやだやだ。。

日本は夏のレイブがボチボチ始まってるんで、そういうの回って
彼も呼吸し始めるのではなかろうかと思います。

7/21/2006 11:36 AM

cavacavien said...

すいません。まだSayuri観てないんですけどね、岩崎峰子さん監修ってことだったんですか。ふむ。レンタル屋へ走ろうかしら...。

12/10/2006 11:47 PM

Envy said...

> Cavacavienさん
レヴューは興奮状態で書いたのでいいことばっかりですが、今考えると星4つだったかもしれません。
ただ、映像美は今でも印象に残っているほど素晴らしく、観賞の価値は充分あると思います。

岩崎峰子さんの名前は原作に監修としてクレジットされているわけではないのですが、あとがきを読んだら、作者が彼女の元を訪れて、当時の生活の様子を長期に渡ってリサーチしたとの記述がありました。
原作は、まるで日本文学をそのまま英翻訳したかのような、独特な読み応えがあります。こちらもオススメしたい。

12/11/2006 10:35 AM

Anonymous said...

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3/06/2007 11:29 PM

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4/26/2007 11:05 PM